巨匠誕生の瞬間
記憶スケッチアカデミーとは、あるお題に従い記憶だけで忠実にイラストを描くってだけの、ただのお絵かきゲーム。当然そこにいる全員が知っているキャラクターでないといけない。その分描く方には、対象がどれだけ頭に残っているかという記憶力と、どれだけイラストに再現できるかという絵心が試されるゲームでもあるのだ。
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先週土曜日友人達と鍋をしました。そのあとボードゲームをすることになっていてその準備の間、ヘキサゴンの一式に付いていた手持ちのホワイトボードで記憶スケッチアカデミーをしようという話に。
そのメンツの中に神崎(別名イジョン)という男がいました。これから紹介するのは全て彼の作品です。彼の名誉の為に言っておきますが、彼は大変な頭脳派であり、良識的な人格を持つ大人なのです。我々仲間うちでも、その懐の大きさから大変慕われる存在です。そしてこういう場でウケを狙うような行為がサムいことなんて十分解っている人でもあります。そんなイケてる彼が描いた奇跡の数々をご覧下さい。
■お題その① 「サザエさん」
これは長谷川先生直筆のイラストですから、コミックのサザエさんですね。アニメはもうちょっと違いますけど、イラストで描くならばこういう風にまとめるのがベストかと思われます。ポイントはやはり髪型ですね。あとはポパイのオリーブにも似た各パーツのシンプルさ。こうやって見ると簡単そうに見えますが、みんな近からず、遠からずな作品が出来上がる中、トリの神埼君の作品はというと。(下のちっちゃい絵クリック!)
一生懸命さは伝わりますが、眉毛はどこに行ったんでしょうか。もはや生き物として認めていいのか悩みどころです。念を押しますが、これはあくまでサザエさんですから。お間違えのないようお願いいたします。
■お題その② 「浅倉南」
最近映画化もされ、ふたたびブームとなっているのご様子のあだち充。「みゆき」と並ぶ彼の代表作「タッチ」からヒロインの南ちゃん。これまたポイントは髪型でしょう。あとは目やラインの繊細さでしょうか。簡単そうで相当難しい“あだち画”を、神崎君はどう料理してくれるのか見ものです。
じゃあ神崎君オープン!
誰?これ。目が全部黒目になってるし。また眉毛がありませんね。日頃からゾンビ映画ばかり観てるので、あれが標準だと思い込んでるんでしょうね?絵のテイストがまるで3歳児なのは気のせいでしょうか?ちなみに彼は高学歴、高身長、高収入の3高(古いけど)男ですから、念のため。
■お題その③ 「両津勘吉」
こち亀よりお馴染み両さん。彼の特徴はなんと言っても眉毛ですから、今まで書き忘れてた神崎君も書いてくれるでしょう。上2つと違って男性キャラでしかも少年誌ですから、描く場合も思いっきりが肝心です。神崎君の特徴はラフなタッチだってことは分かったのでもしかすると今度は意外にイケるかも。これにはちょっと期待しつつオープンしてちょーだい!
明らかに眉毛から描き始めた感が漂ってます。まあ、わりと似てなくもない。というか似てないけど気持ちは伝わります。ただ髪がヅラっぽいよね。美川さんみたい。そして注目する点は、おそらく本人も不安になったんでしょう。申し訳程度に首から下が描かれてます。警察官を表したかったはずですが、その想いは一歩及ばずといったところでしょうか。
■お題その④ 「カバ」
まんがキャラが続いたので、今度は動物モノでいこうかと思い、その中でも特徴的でしかも微妙に難しいカバに決定。ポイントは口とその上の鼻。デフォルメして口部をデカく描けばなんとなくカバになりそうです。実際他のみんなはそれなりな感じでした。そんな中巨匠のカバ画を見てみることにしましょう。
何ということでしょう。いまだ震えが止まりません。これは呪われた未知の生物です。見方によってはオカルトです。人面だしカバから3億光年離れた様子が恐すぎます。冷静に見つめられないほどフリーキーです。笑いすぎて画像がブレてしまいました。言っておきますけど、彼はウケ狙いでこんなの描いたんじゃなくて、本気で描いてこれなんですから。凡人には理解できない高度なアートを見せ付けられた気分です。
天才は思わぬ瞬間に登場するものなんだということを知らされたようで、己の無知さを再度確認した夜だったのでした。
尚、この画は神崎さんによるものなので、コメントに対しては彼がレスを付ける予定です。